山姥切国広展を見に足利市に行きました

2017年5月2日

3月のことなので2ヶ月ほど経ってしまっているのですが、記録だけでも残しておこうと思い書くことにしました。非常に長くなりますがお付き合いください。
刀そのものの話はさらに長くなるので、この記事では割愛します。

2017年3月12日の夜から15日の朝の旅程で、栃木県足利市の足利市立美術館で開催されていた「國廣降臨 山姥切国広展」に行って来ました。山姥切国広は個人蔵の刀で前回の展示から20年ぶりのことだったため、この機会にぜひ見たかったのです。

私が北関東を訪れるのは初めてのことで、展示が始まる前から展示会の公式Twitterアカウント、足利市や近隣市にお住まいの方、コラボ企画に参加されるお店からの情報を見て旅行の計画を立てました。今はもうアカウントを閉鎖されましたが「国広兄弟の足利案内」の情報はとても参考になりました。

さて。3月12日の夜、JR大阪駅で宿泊するゲストハウスへのお土産(風月堂のゴーフル)を入手し、梅田スカイビルにあるウィラーバスの待合室から今回の旅行は始まりました。新幹線でなく夜行バスにしたのは、始発で家を出ても足利市に到着するのが昼頃になるからです。
この日は日中に日刀保大阪支部の支部鑑定会があり、それが終わってから帰宅→風呂→夕食→出発というスケジュールでここまできました。刀剣お出かけのお供、山姥切クマ広と一緒です。

22時半発東京行きの夜行バスに乗って浜松町に着いたのが朝の8時。途中、バスタ新宿の停車待ちで予定より30分遅れです。浜松町から地下鉄で浅草に行き、東武浅草駅で朝食を調達して特急りょうもう号に乗りました。

東武電車は初めて。正直どこを走ってるのかもよく分かってません。りょうもう号は近鉄特急に似た感じの電車で、最初は市街地を走り、そのうちに田園地帯を走るのもよく似ていました。電車が足利市駅に到着する前も畑の真ん中を走っており、これで本当に足利市に着くのだろうかと心配していましたが駅に近づくにつれ町並みが見えてきてホッとしました。
また、この車内で国広展の公式ツイッターアカウントを見ていたら早速その日のグッズ販売が終了していて平日なのにと感心したり。

10時頃に足利市駅に無事到着し、渡瀬川を渡ると「まちなか」と呼ばれる足利市の市街地です。
まずは展示会の会場となっている足利市立美術館に行って混雑具合を偵察しました。会期開始から混雑具合をツイッターでチェックして予想していた通り、朝は混雑していました。
そのまま商店街を歩き太平記館へ向かい、グッズの後日発送の申込みを済ませます。この「当日分終了後に書類で後日発送分を受付」というシステムは遠方から来る人間にとって非常に助かる上に精神的に楽になる方式ですので、別のコラボ企画の時にもぜひ取り入れていただきたいと思いました。

ここでスタンプラリーの台紙をいただいたので、展示は午後から行くとしてまずは太平記館から道路を挟んですぐの足利学校へ。足利学校の入り口ではスーツケースを預かってもらえました。

  

足利学校は歴史の本などで名前だけは見た事があったのですが、復元建物が見られて、往時の姿を想像できたのがすごく良かったです。
大学で中国文学を学んでいた時に「荀子」に出てくる「宥坐之器」というものの話を読みました。水が入っていない時はひっくり返っていて、適度に水を入れるとまっすぐになり、入れすぎるとひっくり返ってしまうというものです。
学校の母屋に当たる建物の玄関付近にその「宥坐之器」を復元したものが置いてあること、広間で漢字テストが受けられることなどを見て、地元の教育施設として再び現役になっているのだなと感じました。

足利学校を出た後、ちょうど前を通るので宿泊するゲストハウス・松香庵に寄りました。スーツケースを預けようと思って訪ねたところ、オーナーの松村ご夫妻がいらっしゃったのでチェックインを済ませ、オススメのラーメン店を教えていただきました。

松香庵は隣接する松村家の敷地に建てられた離れで、松村家の母屋のうちオーナーご夫妻の居住エリアの他は国登録有形文化財の「松村記念館」として公開されています。離れ部分も以前はギャラリーとして使われていた古民家をリノベーションした造りで、広々としたリビングを中心に二段ベッドが2台ある寝室と、風呂・トイレ、調理もできるキッチンがついており、長期滞在ができるようになっています。今回は1泊だけでもったいなかったですね。
こちらは1泊素泊まり2,600円、鑁阿寺の門前で自宅のように滞在できる良いゲストハウスでした。次回泊まる機会があれば自転車を持って行きたいところです。

この後、松村ご夫妻に教えていただいたラーメン店「麺屋つるる」に向かってみたのですが、定休日でお休みでした。残念。こちらもリベンジしたいですね。そこで、当初行ってみようと思っていた「麺や松」へ。こちらは山姥切国広コラボのメニューを出されていました。
ここでコラボラーメンを食べたのですが、お腹が減っていたのか写真を撮り忘れ。トロトロチャーシューが美味しい濃い味ラーメンでした。

お昼を食べていよいよ山姥切国広展へ。
13時半頃に市立美術館へ行ってみると1時間待ちでしたが、結局この日は3回見て、それから現地でお会いできた他の審神者の方と一緒に地下へ下りて、まんばパネルと書き下ろしイラストと一緒に写真を撮りました(クマ広が)。

クマ広を支えてくださっているのは職員の方です。
撮影コーナーでは、イラストやパネルと一緒に職員の方がスマフォで撮ってくださったり写真を撮る方のためにダンボール箱を畳んだものでライトを遮ってくださったりと、八面六臂の大活躍をされていました。

美術館を出た後は鑁阿寺へ。4時過ぎでけっこうギリギリだったんですがなんとかスタンプを押すことができました。
立派な本堂があり、境内がとても広いので近所の子どもたちが売店の前に自転車を停めて駄菓子を食べつつ遊びの相談をしているのが、地元のお寺という感じで良かったです。

松香庵へ戻り、荷物を置いて同宿の審神者の方と日本料理「蝶や」へ。こちらはコラボが決まった時から絶対食べる!!!と決めていた「栃木牛たたき丼」+杏仁豆腐を。牛たたき丼はお肉の下にきざみ海苔が敷いてあり、わさび醤油タレとお肉がマッチしたどんぶりでした。

こちらは提供できる数が決まっているため早いもの勝ちでした。早めの行動で夜の部オープン30分前に行き、1番で入店できたのは嬉しかったです。お料理が出てくるまで、相席になった審神者のみなさんの連れているもちちゃんたちと撮影会ができたのも楽しかったです。また、この時に「もち尻」の可愛さを知りました。

たたき丼を食べ宿に戻った後はお風呂へ。事前調査で行ってみたいと思ったのが、巴町にある銭湯「花乃湯」です。
このすぐ手前には「フレッセイ」というスーパーがあります。
この銭湯は足利を舞台にした映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のロケ地になった建物で、近隣の方は撮影を見たそうです。

入口から中に入ると木札式の鍵のついた靴箱が!久しぶりに見ましたこの形。扉の中に入るとすぐに番台があり、女将さんが座っていました。脱衣所も昔ながらのロッカーの並ぶスタイルで、隅っこには体重が置いてありました。子どもの頃、祖母の家に泊まった時に行った銭湯と全く同じです。お風呂は熱いお湯が流れ込む湯船と、そこにつながっている両脇の湯船の三つ。脇の湯船には冷水が出る蛇口があり、それで温度調節をするわけです。洗い場はお湯と冷水が出る蛇口にハンドルがついている昔ながらのスタイルでした。

お風呂で一緒になった女性とおばあちゃんとお話したところ、大阪から来たというのに驚かれたり、連日美術館が満員のため足利市民は展示を見に行っていないとのこと。そりゃそうですよね…あんなに混んでたら行く気にはなれませんよね。
この話を聞いてから、地元の方が見に行く機会がないのが残念だなと思っていたのですが、一般向けの休館日に地元の小中学校で見学に行く日が設定されていたと聞いて良かったなと思いました。せっかくの名刀を子どもたちに見せてあげられる日があって本当に良かったです。その中から刀を好きになる子が出てくるとより一層嬉しいのですが。
いろいろお話して、織姫神社の階段の途中にあるお蕎麦屋さん「蕎遊庵」を教えていただきましたが、火曜日がお休みなのでまた今度来た時に行くと良いよとのことでした。

銭湯から出て、ふと辺りを見てみると路地を入ったところには質屋、さらに少し歩いたところには漢方(というか精力剤)のお店。このあたりは昔の色町ですね。大きいお寺の近くや街道筋の町で、風呂屋と質屋がセットであるところは大体そうです。うちの地元の駅前もそうなのでどことなく似てました。ここも戦後になって今の普通の住宅街に変わったんでしょうね。

フレッセイで朝ごはんを調達して一度宿に戻ったんですが、まだ20時頃だったので、同宿の方と一緒に再び巴町まで。銭湯の帰りに見つけておいた「美川巴町店」へ行きました。先に蝶やさんでたたき丼を食べたので小腹が空いた程度だったしちょっとだけ。チーズと野菜が乗った熱々の鉄板たまご焼きやお隣・佐野市の第一酒造の「開華」をいただいたりしました。

ここでは、お店の大将やお嬢さん、地元の方とおしゃべりできて楽しかったです。最近は山から下りてきたイノシシが出るという話、大将が織姫神社へ犬の散歩に行ったらイノシシがいてこっそり引き返した話や、お嬢さんが夜行バスでUSJへ行ったという話を聞きました。
あと、地元のお客さんに賞を取ったしこれから来る!というワインを教わりました。教えていただいたは良かったんですが、その方が結構酔っていてブランド名をうろ覚えだったのがおかしかったです。「マルキュウ」って教わったけど違ってました。

後日調べましたらば、審査員が全員女性のワインコンクール「第3回サクラアワード」で金賞を取ったマルキョーワインの「オープニングアクト甲州」がそうです。

ここまでも長かったですが、これで1日め終わりです。


2日めは朝から母屋の「松村記念館」を見せていただきました。写真の模型が昔の松村邸です。今は左下の庭部分に離れが建っています。
オーナーのお話では全体の様式としては商家で農家の造りも取り入れた建物とのことです。
こちらのお宅はとにかく昔からのものがいっぱい保存されていて、好きな人にはたまりません。江戸時代からお祝いごとなどで使われていた食器・漆器のセットや帳簿、計りにそろばんなど商売道具などもケースにいっぱいです。蔵に入ると明治大正のものであろう本などもたくさんあって、旧家というのはすごいもんだなぁと思いました。

間の襖を取り払うと広間になる居間には、明治大正期の政治家が足利市に来た際に書いた額や掛け軸などがあちこちにあります。下の写真は伊藤博文の額。明治の頃に一定以上の納税額を納めた家に贈られる顕彰状の版木と昔の帳簿類。古い金庫。肥前忠吉8代の刀。一階、二階、蔵の中と見るだけで1時間くらいあっという間です。

こちらのお宅が大正期、立憲政友会の政治家・横田千之助の親戚筋にあたることから彼に関する資料が多く残されており、卒論のために訪れる学生さんもいらっしゃるとのことでした。

松村記念館を出て、まず真っ先に向かったのが「和Cafe ひなたや」さんです。
こちらで出されているコラボメニュー「やまんばぎり抹茶アイス」を食べるため、オープンすぐの時間を狙って行きました。

そこでなぜか始まった撮影会。きっかけは何だったか忘れたんですが、ともかく始まったんです。
よその子やお店のまんばちゃんと一緒に写真が撮れました。かわいい。
抹茶アイスは苦味があまりない爽やかな抹茶味で美味しかったです。

次に向かったのがフレッセイの隣にある足利織物伝承館。足利銘仙の資料館です。

こちらでは、繊維産業で大いに栄えた頃に制作された販促ポスターの絵柄のポストカードを買いました。そこで、受付の女性としばらく立ち話したところ一階にある「十勝屋」という麺処が美味しいというお話を聞きました。この女性もお子さんと一緒にUSJに行ったことがあるとおっしゃっていたので、USJは意外と(失礼)人気なんだなと。大阪に住んでてもあんまり行かないので(笑)

そしてさらに町を西に歩いて行き、織姫神社の前を通り過ぎて辿り着いたのが長林寺。スタンプラリーのポイントです。

こちらのお寺には山姥切国広を依頼した長尾顕長の墓があるとのことでしたが、お寺で飼われている猫の写真を撮っているうちに墓のことは忘れてしまいました…。

長林寺の次が最後のポイント、足利織姫神社です。

229段の石段と聞いて行く前は「うへー」と思ったのですが、登り始めてみると階段が曲がりくねっているおかげで町の景色が見えたりして、楽々と登ることができました。階段の途中で「イノシシ注意」の標識もあり、美川の大将のイノシシ話を思い出しました。出るんですね〜。
この神社は映画「ちはやふる」のロケ地に使われているそうです。宇治の平等院鳳凰堂を真似たという本殿を見るのが楽しみだったんですが、あいにくと修復工事中で見られませんでした。残念。
ここでスタンプを押し、全部集まったので太平記館へと向かいます。

途中で丸川屋と舟定屋 本店に寄ってゆずわいんと芋ようかんを買い、丸川のご主人に昨日聞いたワインの話をしてみたところ、「マルキョー」のワインであること、自店では扱っていないが太平記館に行けばあることを教えていただきました。ご親切にありがとうございました。

一度宿に帰って太平記館へ向かい、途中でふと目について入った尚古堂さんという古書店で長尾時代の足利の地図のレプリカをいただきました。手持ちのお金があったら欲しい本がちらほらとあってぐぬぬ…となったけどしょうがないですね。


太平記館のお土産コーナーで探したところ、無事「マルキョー」のワインを発見できました。スタンプラリーの景品であるポストカードをもらった後は、「プラザハマダ」で販売している「國廣降臨弁当」を食べ、さらに「おり〜ぶ」でエプロンを予約し、商店街のスタンプラリーも完成させました。模造刀は倍率が高くて当たりませんでしたが。

そうして一通りお土産をゲットした後は再び市立美術館へ行き、2回山姥切国広を見ました。2日で計5回です。刀は見る方の目が成長すると見え方が変わると言いますので、また数年後に見たら今回見えなかったところまで見えるかもしれませんね。

美術館で同宿の方とまたお会いできたので一緒に「麦とろ 銀丸本店」でお蕎麦を食べ、最後に荷物を取りに戻ったところ、松村ご夫妻が見送りに出てくださったので二日間お世話になったお礼を言ってお別れしました。

東京から梅田まではまた夜行バス、大阪に帰った日の夕方に仕事の打ち合わせを入れていたので、朝7時半に梅田に到着した後は一度家に帰り、朝食を食べて出勤しました。
荷ほどきしてお土産を出してみると、結構いろいろ買っていました。行きはスカスカだったスーツケースがパンパンになってたくらいですから。

では、お土産をご紹介。

古印もなかと芋ようかん。両方とも上品な味で家族にも好評でした。芋ようかんは2本買ったんですが、すぐなくなっちゃいましたね。

蘭と月」の四君子のお香から蘭と梅。どちらも高雅な香りです。それからゆずわいんとマルキョーの白ワイン。ゆずワインは食前酒に最適な飲みやすいすっきりとした味でした。マルキョーのワインはこれから開けます。

最後は、先週届いた山姥切国広グッズです。太平記館で申し込んだもので、GW明けくらいになるかなと思っていたら早く届いてありがたい限りでした。

そんなこんなで仕事を休んで商店街の定休日も入れた平日に行った「國廣降臨 山姥切国広展」でしたが、それでもあちこちに同じようにして足利に来た女性を見かけましたし、何より美術館でえらい並びましたので、週末はもっとすごかったんだろうなと。改めて週末を避けて正解だったなと思いました。

足利市での今回の展示がとても良い効果を上げて成功したこと、その後の報道などを見て知りましたが、行った者の一人としてとても嬉しく思っています。地元のみなさまのコラボ企画を始めとしたおもてなしは考え抜かれ、心のこもったもので、提供する側であるお店でもこのイベントを楽しんでいらっしゃるのが伝わってきました。
次回もあるとすれば、また大阪から参加したいと思います。