もう一つのパスは、外に対して積極的にアピールはせず、明確な敵も設定せず、 技術を磨き、いつか誰かの目に止まる日を待つ方法である。
小野和俊のブログ:IT業界戦場論
ここからおいらの雑感。
ものづくりで「良いものをつくる技術」を高めて行くには、自社で研鑽を積む方向と、日頃おつき合いしている相手から持ち込まれる「ちょっと無理めな仕事」をやり遂げて行く方向と両方あると思う。
どちらか片方だけでは多分、うまく行かないんじゃないかと思う。
普段から自社の技術を高めていないと、「ちょっと無理めな仕事」が来た時に突破口が見つからずに終わってしまうだろうし…
逆に、自分たちだけで内に籠ってやっていると、気がついたら全然必要とされない、もしかすると趣味にもならないところに行きつくまで気付かないかも(笑)
結果的に世界中でそこしかできない仕事をする会社さんも、少しずついろんなところから持ち込まれる仕事をきっちりやって行くなかで、技術も上がり、「あそこに持って行けばなんとかしてくれる」という評価もいただくようになって、そのサイクルで転がって行くうちに、世界オンリーワンの高みに到達することができたんじゃないのかな、と思う。
うちの母は印刷会社の現役の技術屋さんだった三十年前、製薬会社のオートメーション用の箱の設計をやってたらしい。
病院に納品される薬って、間違いがあると命に関わるものだから、1回開けると開けたことが明確に分かる構造になっていないとだめで、変な隙間もあってはだめ、しかも全自動のラインに乗せられるように(つまり既存の梱包用産業ロボットに対応しているのが最低条件)なっていないとだめ、なんていう結構シビアな条件で箱を作ってた。
文字通り0.01ミリ単位で箱を作る仕事で、自分と上司とで考えた箱の設計書を持って製薬会社のプレゼンに参加して、実用新案とか特許とか取って、産業大臣賞なんかも貰ってたそうな。
そうすると、営業さんを通じて、製薬以外の会社からも、箱の設計を持ち込まれたりしたらしい。
例えば、駄菓子屋さんにお菓子を納める卸売屋さんから、上半分を簡単に切り取ってそのまま陳列できる箱を依頼されたり、化粧品のメーカーから変わった開け方のパッケージを頼まれたり。
そういうのが逆にまたオートメーション用の箱を作る時のヒントになったりするんだそうで。
なかなか良いサイクルだと思った。
日本の技術力って、そういう風にそれぞれの会社がちょっとづつ頑張って、レベルが上がってきたんじゃないのかな〜と思う。
そういうものづくりって、“あいてぃ”の企業には通用しないのかな。
どうなんだろう?
ちょっと思ったこと
2008年8月5日